コンテンツへスキップ
個人情報保護法の理解 010

匿名加工情報

平成27年改正の目玉のひとつです。

匿名加工情報の必要性

大量に蓄積された人の移動履歴や購買履歴などを分析することはマーケティング上強力な武器になります。

しかし、自分が休日にどこへ行っているとか、ネットでどんな買い物をしたとか、そのような情報が出回るのには抵抗がある人も多いと思います。

そもそも個人情報は取得時に示した目的以外の利用で使用したり、第三者に提供したりするには本人の同意が必要となります(追って解説します)。

取得した個人情報がマーケティングに使えることに気がついたとしても、何万人といる本人に利用目的変更や第三者への提供に同意してもらう必要があります。相当大変な作業になりそうですよね。

そこで、個人を特定できないように加工して利用することが考えられましたが、ある程度その人の属性(例えば東京在住、30代など)を残さないと今度はマーケティング情報としての価値がなくなってしまいます。

事業者が安心して情報を利用できるように、そして、個人の権利利益が侵害されることのないように考えて「匿名加工情報」のルールが作られました。

匿名加工情報とは

特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られた個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの」を匿名加工情報といいます。

特定の個人を識別することができるのが個人情報ですから、もはや個人情報とはいえないですね。

ただし、もとは個人情報ですから、作成、提供、管理のルールが定められています。

作成のルール

個人情報には2種類ありました。「個人情報の定義」をおさらいします。

ひとつめは、

「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」でした。

こちらについては個人情報に含まれる記述の一部を削除すること(復元できる規則性のない方法で他の記述に置き換えることを含む)により作成します。

ふたつめは、

「個人識別符号が含まれるもの」でした。

②については個人識別符号の全部を削除すること(復元できる規則性のない方法で他の記述に置き換えることを含む)によって作成します。

ところで、「特定の個人を識別することができないように個人情報を加工する」とは、あらゆる手法によって特定することができないよう技術的側面からすべての可能性を排除することまでは求められているのでしょうか?

個人情報保護委員会のガイドラインによりますと、そこまでは求められておらす、「少なくとも、一般人及び一般的な事業者の能力、手法等を基準として」特定することができないようにすることが求められている、とされています。

「当該個人情報を復元することができない」についても同様です。

匿名加工情報は個人情報ではないものの、もともとは個人情報だったものですから匿名加工情報に手を加えれば特定の個人を識別されてしまう危険があるわけです。

そうであるからこそ、匿名加工情報を管理したり第三者に提供したりする際のルールが決められているのです。これについては別の講で説明することとします。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です