マイナンバーは生涯不変
マイナンバーは生涯不変です。結婚して姓が変わったとか、引っ越しをして住所が変わったとかではマイナンバーは変更されません。
コロコロ番号が変わるようでは、同一人物であることの確認がとれなくなり、制度の目的が実現できなくなってしまうからです。
もっとも、通知カード(後で説明します)記載事項に変更があったときは、変更があった日から14日以内に市町村長に届け出なければなりません(第7条第5項)。
姓や住所は通知カード記載事項ですから、届出は必要ということになりますのでご注意ください。
マイナンバーが変更されることと、届出義務があることは全然別のことなのできちんと区別しておいてください。
唯一の例外は「不正利用のおそれがあるとき」
条文を見てみましょう。
市町村長は、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)が備える住民基本台帳に記録されている者の個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その者の請求又は職権により、その者の従前の個人番号に代えて、次条第二項の規定により機構から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、速やかに、その者に対し、当該個人番号を通知カードにより通知しなければならない。
マイナンバー法 第7条第2項
個人番号カードが盗まれてしまった場合や、会社に提供した個人番号を誰かが不正に第三者に渡してしまった場合などが想定されています。
通知カードを誤って隣の家に配達してしまったケースや、誤って住民票にマイナンバーを記載して発行してしまったケースでマイナンバーの変更、再発行をしたという報道がありましたね。
市町村長の職権でも変更できる
不正利用のおそれがあるときに、本人が変更を請求できるのはいいですね。悪用されてまず困るのは本人だからです。
7条2項を見ると、市町村長の職権でも変更ができるとありますね。本人の請求がなくても市町村長が変更する必要があると考えるときは変更ができるということです。これはどういうことでしょうか。
漏えいの事実は明白だけれども、本人が放置している場合を考えてみてください。
悪用されてしまうと、いくら本人がいいといっているといってもマイナンバー制度の信頼が揺らぎます。制度に対する信頼という公益が害されるのです。
また、本人と連絡がとれない場合、本人の権利利益が害されるおそれがあるのに黙って見過ごすというのもよくないですよね。
そこで、あくまで漏えいによって不正利用のおそれがある場合ですが、市町村長も職権でマイナンバーの変更ができるとしているのです。
マイナンバー法は個人の権利利益を保護する側面もありますが、社会の基盤、公益という要素が強いということがここにも現れているといえますね。
事業者は定期的に確認を
事業者は雇用している従業員等からマイナンバーの提供を受けて源泉徴収票作成事務等を行います。
一度提供を受ければ翌年以降改めて提供を求める必要はないわけですが、少ないとはいえマイナンバーが変更されている可能性はあります。
そこで、定期的にマイナンバーに変更がないか確認をするべきです。そうでないと、書類に誤った番号を記載しつづけてしまうからです。