なりすまし防止
個人番号の提供を受ける際には本人確認措置をとらなければなりません。なりすましを防止する必要があるからです。
他人の番号をかたる場合
なりすましには2つのパターンがあります。
一つ目は他人のマイナンバーを自分のものとして提供する場合です。
これを防ぐには「番号確認」が必要です。
つまり、Aさんが自分自身のマイナンバーを自分のマイナンバーとして提供していることを確認したいのです。
個人番号の確認
そのためには、通知カードまたは個人番号カードの提示を受けてします。
通知カード、個人番号カードには氏名、住所とマイナンバーが記載されているからです。
それ以外のメモ等では正規に発行された個人番号であることの確認がとれませんので番号確認をしたことにはなりません。
通知カード、個人番号カードの提示が難しい場合は個人番号の記載のある住民票で番号確認をしてもよいことになっています。
通知カード、個人番号カードのコピーはとっていい?とらなきゃダメ?
ちなみに、通知カード等のコピーを保管することは許されるのでしょうか? 法律の文言は「提示を受ける」なので「提示を受ける」という日本語にコピーの取得は含まれないから許されないとも考えられます。しかし、コピーの取得・保管は個人番号関係事務の一環として認められています。
試験の出題としてはコピーを取得し保管する義務があるか?というものがあります。もちろんコピーを取る義務はありません。法律の文言はあくまで「提示」ですから、見せてもらうだけで十分と考えるならばわざわざコピーを取得する必要はないのです。
コピーの保管は、番号の真性を確実に確認するという実務上の要請があって認められているものとご理解ください。
偽名を使う場合
なりすましの2つ目のパターンは偽名を使うパターンです。
つまり、本当はAさんではないのに、「自分はAだ」と嘘をついてAさんのマイナンバーを提供する場合です。
そのため、マイナンバーを持ってきてくださったAさんが本当にAさんであることの確認、「身元確認」も必要となります。
身元を確認する資料
総務省令が定める身元確認資料は、運転免許証、パスポート、身体障害者手帳、在留カードなどです。身元確認は原則としてこれらの資料の提示を受けてします。
これらに共通するのは厳格な本人確認を経て発行されるものだということです。Aさんと自称する方の所持する運転免許証などに「氏名 A」と記載されていればそれは偽名ではないと判断して間違いないでしょう。
写真入りの公的証明書なら1通でOK
上記以外では、官公署から発行・発給され、通知カードと同じ氏名、住所、生年月日が記載され、かつ、写真の表示があるものも身元確認資料として認められています。
写真がはられていれば見てわかりますよね。ただ、記載されている氏名や住所が通知カード記載のものと一致していなければダメです。
個人番号カードは万能
個人番号カードの表面には、氏名・住所・生年月日・性別が記載され、裏面には個人番号が記載されています。したがいまして、個人番号カードが1枚あればその両面を提示することで個人番号の提供は済んでしまいます。
写真入りの公的証明書がない場合
運転免許証等も写真入りの公的証明書も提示が困難な場合は、健康保険証、国民年金手帳等を2通提示すれば身元確認資料になります。
写真が貼られていないので本人であること一目瞭然、とはいきません。1通ではこころもとない、と考えるのです。
しかし、本人しか持っていないはずのものを2通も持っているのですから、まあ本人であると判断してよいだろうということです。
身元確認を省略できる場合もある
個人番号の提供を行う者と雇用関係にあること等の事情を勘案し、人違いでないことが明らかであるときは身元確認の書類提示は不要となります。
ただし、これには雇用契約を締結するときに住民票の提出を求めるなどして本人確認が済んでいるなどの事情があることが必要です。雇用契約時に本人確認の手続をしていない場合は、個人番号提供時の本人確認は必要です。雇用関係があるから身元確認は不要となると誤解されている方もいらっしゃいます。そうではありませんのでご注意ください。