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マイナンバー法の理解 012

特定個人情報の提供の制限

出題ポイント

  • 自己のマイナンバーも法定事由がなければ提供できない
  • 「提供」とは、法人格を超える特定個人情報の移動をいう

本人の情報でも提供制限がある

何人も次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。

マイナンバー法 第19条

主語は「何人も」です。自己を本人とする特定個人情報(自分自身のマイナンバー)であっても好き勝手に提供してはならないのです。

個人情報保護法の第三者提供のところを思い出してください。本人の同意があれば第三者提供は可能でしたね。しかし、特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む個人情報)の提供は本人であっても法定された場合以外は禁止です。

厳格な制限なのだ、とご理解ください。

提供とは

それでは、「提供」とはなんでしょうか? ある団体・組織に特定個人情報を提供したのち、団体内での「利用」として共有が許される範囲はどこまでか、という問題です。

それに対する答えとしては「法的な人格を超える特定個人情報の移動が提供、法的な人格を超えない特定個人情報の移動は利用」と覚えてください。

例えば、営業部庶務課がマイナンバーの提供を受け、これを経理部に渡すのは法人内の移動なので提供ではなく利用です

グループ会社でも他社は他社

企業グループ内の人事異動で子会社に転籍する場合、企業グループ内なので実感としては部署の異動と変わらないかもしれません。

しかし、これに伴い特定個人情報を子会社に知らせる行為は法的な人格を超える移動にほかなりませんから「提供」です

フランチャイズ本部組織も他社

同様に、フランチャイズ加盟店が特定個人情報をフランチャイズ本部組織に提出する行為も、同じ看板を掲げて営業しているとはいえ、別法人ですからその特定個人情報の移動は「提供」ということになります。

市民課→教育委員会も提供

このケースも市民からすれば市の行政組織内の移動のように見えますが、法的には別人格ですから「提供」です。


6 thoughts on “特定個人情報の提供の制限

  1. 海波 空風

    12月の受験合格目指し、貴HPで学習中。分かり易い解説で助かっています。質問です。
    006『個人番号の生成』から
    ○マイナンバーを生成するのは、機構のみ。で各市町村長が機構に知らせるのは住民票  コードのみ。
    と解釈していましたが、本章にある法第19条の4を見ると、「機構が第十四条第二項の規定により個人番号利用事務実施者に機構保存本人確認情報を提供するとき。」となっており疑問を感じました。第14条の2は逆の立場から機構に対し、保存本人確認情報を求めることが可能という内容ですよね。
    いずれにしても、機構は住民票コードのみでマイナンバー生成するのだけど、保有している本人確認情報は顔写真(カード作成時の)までしっかり持っているということが、分かりました。騙されたような気になるのは私だけでしょうか?

    返信
    1. okada

      コメントありがとうございます。
      お役に立てているのでしたらとてもうれしいです。

      さて、ご質問の件。

      マイナンバー生成の際に市町村長から機構に渡されるのは住民票コードだけといいながら、機構に機構保存本人確認情報(氏名や性別を含む)の照会をできるのはおかしいのではないか、なぜ機構がそれらの情報を保有しているのか?という疑問ですね。

      地方公共団体情報システム機構の前身は地方自治情報センターといって住基ネットの全国センター運営をしていた組織で、日本最大(おそらく)の個人情報データベースを取り扱っていたわけです。

      ですから、マイナンバー生成の際に市町村長から教わらなくても日本国民の個人情報をもともと持っているわけです。

      マイナンバー生成の際に機構に通知されるのは住民票コードのみとしているのは、万万が一にでも生成事務実施にあたり情報漏えい事故が生じたとしても実害を最小限にとどめるために余計な情報のやりとりはしない趣旨なのだとご理解ください。

      返信
      1. 海波 空風

        早速の解説、ありがとうございます。残すところ後1か月余りですが、
        少しづつでも貴HPに目を通し、なんとか一発合格できる様努力します。
        また、疑問が沸いたら質問させていただきます。そして合格の際は、
        改めて結果報告致します。ありがとうございました。

        返信
  2. サブマリン

    こちらのサイトはたいへん役に立ち、感謝しております。質問させてください。

    U-CANの「個人情報保護士 これだけ!一問一答&要点まとめ 第2版」の
    306 何人も、原則として、特定個人情報を提供すことは禁止されているが、自己を本人とする特定個人情報を提供することは禁止されていない。
    →×
    307 何人も、原則として、特定個人情報を提供すことは禁止されているが、自己と同一の世帯に属するものを本人とする特定個人情報を提供することは、禁止されていない。
    →×
    312 何人も、原則として、特定個人情報を収集・保管すことは禁止されているが、自己を本人とする特定個人情報を収集・保管することは禁止されていない。
    →〇

    また、御サイトのマイナンバー法の理解 013
    「()書きの「他人の個人番号を含むものに限る。」も要チェックで、「他人」の意味を正しく理解しておく必要があります。
    この点については第15条で「自己と同一の世帯に属する者以外の者をいう」と定義されています。
    親が同居している未成年の子の特定個人情報を保管することは差し支えない、ということですね。同居していないと「同一の世帯」といえませんので一人暮らしをしている子は実家に通知カードを置きっぱなしにしてはダメなんですね、本当は。」

    となっていますが、公認テキスト353、354ページの記述に照らし合わせると全て〇だと思うのですが、どうして×なのか悩んでおります。
    お時間がございましたら、教えていただけると幸いです。

    返信
    1. okada

      お疲れ様です。

      いま出先におりまして公認テキストを確認できないのですが、U-CANの答え、間違っていないと思いますよ。

      なぜならば、306と307は「提供」の制限、312は「収集・保管」の制限だからです。

      「収集・保管(第20条)」(と「提供の求め(第15条)」)に関しては、自己情報(同一世帯の家族含む)を制限の対象外とすると規定されていますが、
      「提供(第19条)」については自己情報を制限の対象外とするとの規定はないのです。

      つまり、自己情報であってもとにかく第19条所定の場合以外は勝手に提供できないのです。

      条文をしっかり読み込めばわかることなのですが、実際問題としてマイナンバー法の条文を読むのはなかなかつらいですよね。

      まずは、「自己情報であっても自由に利用(提供)できない」という原則を頭に入れて、そうはいっても自分(同一世帯の家族含む)のマイナンバーカードすら保管できないという非常識な結果は避けたい。
      そこで、それを避けられるように例外が用意されているのだ、と整理するとすっきりするのではないでしょうか?

      返信
  3. サブマリン

    早速のご返信及びご丁寧な解説ありがとうございます。
    たいへん助かりました。試験直前で頭がこんがらがっていたところすっきりいたしました。
    本当にありがとうございました。

    返信

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